大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成4年(ワ)2500号 判決 1992年6月04日

大阪市西成区山王一丁目九番七号

原告

北畑實

東京都千代田区霞が関一丁目一番一号

原告

右代表者法務大臣

田原隆

右指定代理人

竹本健

中村悟

藤井昭夫

福住豊

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

被告は、原告に対し、二万七〇〇〇円及びこれに対する平成四年三月五日から支払済みまでの年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  本件は、原告が、物品を購入するに際し、代金とともに支払った消費税額相当分につき、被告が法律上の根拠もなく不当に利得したとして、被告に対し、その返還を求めた事案である。

二  原告は、平成四年二月一八日、国内において、小柳商店から鰐皮靴等(以下「本件物品」と総称する。)を合計九〇万円で購入する際、売主で対し、消費税額相当分二万七〇〇〇円を支払ったが、本件物品は、古物営業法一条一項にいう「古物」であって、このような「古物」については、消費税を賦課すべきではない。また、古物営業法は消費税法上の条項にいう消費税を免除する旨の「その他の法律」に当たり、古物営業上の「古物」については、消費税は免除されるべきであり、その課税は違法であると主張する。

第三判断

一  仮に、原告が、本件物品を購入するに際し、売主に対し、消費税相当分を支払い、また、この消費税額相当分について、被告が消費税として徴収し、さらに、原告の右消費税額相当分の支払と被告の右消費税徴収との間に因果関係が存在するとの前提に立ったとしても、被告による消費税の右徴収は、法律上の原因を欠くとの原告の主張は、以下のとおり失当であって、不当利得には当たらない。

すなわち、消費税法上、古物営業法第一条一項にいう「古物」について消費税を賦課しない旨の規定は存しない。また、古物営業法にも、同旨の規定はなく、同法が消費税法上の条項にいう消費税を免除する旨の「その他の法律」に当たらないことは明らかであり、そのほか、古物営業法上の「古物」について消費税を免除する旨の法律の規定は存しない。さらに、消費税の性格上、明文の規定がなくとも、古物営業法上の「古物」については、消費税を賦課すべきでないと解する根拠も見い出し難い。

二  したがって、原告の請求は理由がない。

なお、原告の請求が、不法行為に基づく損害賠償を請求する趣旨を含むものであったとしても、前記のとおり、被告の消費税法に基づく消費税の徴収には何ら違法な点はなく、いずれにしても原告の請求は認められない。

(裁判長裁判官 福富昌明 裁判官 森義之 裁判官 西田隆裕)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例